平島式東大合格暗記術の秘密
バックナンバー:
第1回第2回第3回第4回第5回 第6回第7回第8回第9回
第10回第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回
第18回第19回第20回第21回第22回第23回第24回第25回
 

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第1回〜 (2011/2/15)
└─────────────────────────────────

平島式東大合格暗記術の考案者、平島です。
今回から「平島式東大合格暗記術の秘密」と題しまして平島式のコンセプト、ノウハウ、実際の取り組み方、コツ、平島式だけでないいろいろな勉強法について連載していきたいと思います。

今回は第一回ということで平島式が生まれるきっかけになった出来事のお話です。

私が中学1年生のときの話です。
(去年までは東国原知事、今年は新燃岳で話題の宮崎出身です。)
1学期の期末テストといえば、新中学1年生が受ける最初の期末テストになります。
私はそのときに、初めて英語の勉強らしい勉強をすることになりました。
成績はよく覚えていません。

ただ、教科書に載っている単語を全て覚えたはずでした。
しかし、2学期の中間テストが近づき、いざ勉強を始めようとすると、
1学期の期末テストの前に覚えていたはずの単語をかなり忘れていることに気づき、愕然としました。
そのために、覚えていたはずの単語を、もう一度勉強しなければならなくなりました。

そんなの誰もが経験することかもしれません。
勉強をする上で、忘れたことを繰り返すのは当たり前のことです。
しかし、私はそんな当たり前のことが疑問でした。

忘れないように覚えてさえいれば、繰り返し勉強する必要はなかったのではないか? 
忘れないような覚え方があるのではないか? 
その疑問から平島式暗記術が生まれてきたのです。

次回の連載をお楽しみに!


★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第2回〜「暗記」について (2011/2/18)
└─────────────────────────────────

今回は少し理屈っぽくなりますが、しばらくお付き合い下さい。

「暗記」は「学習する内容を記憶すること」です。
つまり色々な種類の「記憶すること」があって、その一つが「暗記」です。

「記憶すること」は「記銘」「保持」「想起」の三つの過程からなります。

「記銘」とは「憶えること」です。
見たり聞いたりした情報を脳が憶えておけるように処理します。

「保持」は頭の中に情報を保存しておくことです。
「保持」している間はその情報は脳のどこかに隠れているわけです。

「想起」は簡単に言うと「思い出すこと」です。
脳のどこかに隠れていた情報が取り出されます。

この三つの過程に分類すると「暗記」のポイントになるのは始めの「記銘」と終わりの「想起」です。
つまり「憶えること」と「思い出すこと」です。

世の中にある「記憶法」「暗記法」はこのどちらかを簡単にする方法を提案しています。

例えば年号や化学元素の語呂合わせは「記銘」つまり「憶えること」に焦点をあてて頭に入りやすくしています。

類似語を一緒に憶えてしまいましょうという英単語の覚え方は似たような単語を憶えるから「想起」つまり「思い出し」やすくなるという利点があります。

ところで皆さんが今まで勉強してきた中で暗記の必要に迫られた時、「記銘」と「想起」どちらに力点をおいて勉強していたでしょうか。

おそらく「記銘」に力を入れていた方がほとんどだと思います。
一般的に「暗記」=「記銘」=「憶えること」のイメージがあります。

だけど結果の出せる憶え方は必ず「想起」に重点を置いています。
意識していなかったとしても、うまく憶えられた時というのは実はスムーズに「想起」つまり「思い出せ」ている時です。

「暗記」=「想起」=「思い出すこと」と考えることで暗記に必要な種類の勉強の仕方はおのずと変わってきます。
スムーズに「想起」する方法を身につけることが「暗記の達人」への道なのです。

次回は「想起」する訓練についてのお話の予定です。


★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第3回〜 カーピック博士の実験 (2011/2/22)
└─────────────────────────────────

前回は「記憶」の三つの過程「記銘」「保持」「想起」についてお話しました。
それぞれ「憶えること」「憶えておくこと」「思い出すこと」に対応します。

この中で最も重視すべきなのは「想起」つまり「思い出すこと」です。

2008年2月の『サイエンス』誌に米パデュー大学のカーピック博士の学習と記憶に関する実験の論文が掲載されました。

アメリカの大学生にスワヒリ語の単語を40個覚えてもらう実験をしました。
大学生は4つのグループに分けられ、4つのグループはそれぞれ少しずつ違う方法で単語の学習と確認テストを行いました。

各学生は全ての単語を覚えるまで再学習と確認テストを繰り返しました。
1.全ての単語の再学習と、全ての単語の確認テストを行ったグループ
2.間違った単語の再学習と、全ての単語の確認テストを行ったグループ
3.全ての単語の再学習と、間違った単語の確認テストを行ったグループ
4.間違った単語の再学習と、間違った単語の確認テストを行ったグループ

確認テストを4回ほど繰り返したところで全ての学生が単語を覚えました。

さてその一週間後、覚えた単語を再度テストしました。
その結果は1と2のグループは正解率80%、2と3のグループは正解率35%でした。

成績のよかった1と2のグループと3と4のグループとの違いは「全ての単語の確認テスト」を行っているかどうかということです。
1と2のグループの再学習する単語の量の違いは結果に表れませんでした。

ここで再学習を「記銘」、確認テストを「想起」とみなすことができます。
正解した単語でも再度確認テストでおさらいする、つまり「想起」することで一週間後に頭に残っている率が明確に違っていたということになります。

この実験から、学習する際に「想起」=「思い出すこと」を中心に暗記を行うことが有効であるという結論が導かれるのです。

平島式東大合格暗記術では「想起」を訓練します。
登録した単語は「チェックノート」でスムーズに想起できるまで繰り返してください。

次回はエビングハウスの忘却曲線についての予定です。


★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第4回〜 エビングハウスの忘却曲線 (2011/2/25)
└─────────────────────────────────

前回はカーピック博士の実験から記憶において「想起」=「思い出すこと」が重要であることをお話ししました。

カーピック博士の実験の源をたどると「記憶」に関する研究はドイツ人の心理学者エビングハウスから始まりました。

エビングハウスは実験の結果から「エビングハウスの忘却曲線」という有名な曲線を導き出しました。

エビングハウスは被験者に無意味なアルファベットの列を覚えてもらいそのうちの何パーセントを覚えているかということを調べました。
実験結果は次のようなものだったそうです。

20分後には、42%を忘却し、58%を覚えていました。
1時間後には、56%を忘却し、44%を覚えていました。
1日後には、74%を忘却し、26%を覚えていました。
1週間後には、77%を忘却し、23%を覚えていました。
1ヶ月後、には79%を忘却し、21%を覚えていました。

つまり1日後には覚えたアルファベットのうち4分の1しか覚えていなかったのです。
人は1日で情報を大量に忘却します。
そのあとは緩やかに忘れていくのです。

この実験には続きがあります。
実験をしてから1日後、2日後、3日後・・・と
アルファベットをもう一度覚えなおしてみます。
そうすると覚えている割合は劇的に増えます。
さらに覚えている割合が増えるだけではなく
忘れていくスピードも減少していくのです。

学校や資格のための勉強は、無意味なアルファベットの列に比べると覚えやすいはずです。
エビングハウスの実験に比べると、忘却曲線はもう少し緩やかになるのでしょう。
それでも復習が重要だということは確かです。

私は効果的に覚えていく方法を試行錯誤して自分なりの暗記法を編み出しました。
エビングハウスの忘却曲線のことは知りませんでしたが自分で作った暗記法のシステムはエビングハウス先生が実験で出した結論と
同じコンセプトになりました。
つまり、「忘れる前に繰り返し覚えなおすと忘れにくくなる」ということです。

次回は覚えるタイミングについてのお話の予定です。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第5回〜 覚えるタイミング (2011/3/4)
└─────────────────────────────────

前回はエビングハウスの忘却曲線のお話でした。

今回は覚えるタイミングについてお話します。

皆さんが勉強していて、「これを覚えなければ」と思う瞬間はいつでしょうか?
・参考書に「重要!」とマークがしてあるのを見たとき。
・練習問題で解けなかったとき。
・テストで出来なかったとき。
・採点の結果、間違っていたとき。
・必要な時に思い出せなかったとき。
人それぞれいろんな瞬間があると思います。

では「これを覚えなければ」と思う「これ」を具体的にイメージして下さい。
たとえば、つづりの難しい英単語や法律の条文、年号、化学記号などです。

その時までに何回「これ」を覚えなければと思ったでしょうか?
・初めて思った。
・2回目。
・何回も。

ほとんどの方はこの質問の答えに「何回も」と答えます。
「これを覚えなければ」と思ったということは覚えにくかったものであるからです。

何回も「覚えなければ」と思うものは自分が覚えにくいと感じる種類のものです。
そういった覚えにくいものは「忘れぐせ」とでも言っていいようなくせが自分の中に出来上がってしまいます。

何度覚えても忘れてしまう。
そういうくせを避けるためには、くせが出来ないように覚えることです。

そのために最も良いのはくせが出来る前に覚えてしまうこと。
つまり「初めて」覚えなければと思った時に完全に覚えてしまうことです。
極端な言い方をすると「初めて見た時に覚える」ことです。

「初見で覚える」
これが覚えるために最も良いタイミングです。

学習するテーマには課題、単語、用語、年代、記号などいろいろあります。
それに初めて出会った時、私たちは第一印象にも似たインパクトを感じます。
覚えないまま2回目、3回目とそれに出会うたびにそのインパクトは薄れていきます。

ですから第一印象のインパクトが残っているうちが最も記憶しやすいタイミングなのです。

次回は引き続き覚えるタイミングと平島式東大合格暗記術の有効な利用方法についてのお話の予定です。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第6回〜 初見で覚えるには (2011/3/22)
└─────────────────────────────────

前回は覚えるタイミングのお話でした。

今回も引き続き覚えるタイミングについて書きます。

覚えるのに最も良いタイミングは初見で覚えることだと前回書きました。
「初見」という言葉はふつうピアノやバイオリンなどの楽器で初めて見る楽譜をもとに演奏することを言います。

さて、「覚えること」に関して言うとなかなか「初見」で完全に覚えられません。
「初見で覚えろ」と書いておきながら矛盾したことを言っていますが「初見」で覚えられるくらいなら苦労しないです。

大事なのは「初めて」見たときに覚えるステップをスタートさせることです。
「平島式」でなくても良い、語呂合わせでもなんでもよいですから初めて見た時に「覚えないといけない」と思ったら覚えるための行動をとることです。

もしパソコンソフトの「平島式」を使っているならば、私がお勧めする良い方法は「平島式」用のノートを一冊用意して学習する状況が生まれそうなところにはいつも持ち歩くことです。

学校や塾はもちろん、電車の中で本を読むような人は電車の中に、バスならバスの中、図書館、会社、セミナー。
いつでもそのノートは持ち歩きます。

「平島式」への転記用のメモとしてそのノートを使います。
チェック欄、問題、答えの3項目を書けるように枠を作って覚えなければいけないと思ったらそのノートにメモします。

そして帰宅して「平島式」を起動してソフトに転記します。
転記したらチェック欄に「済み」のチェックをつけていきます。

ノートでなくてメモ帳でも、普段使っている手帳の一部を使っても構いません。
大事なのは「覚えなければ」と思った最初の瞬間を逃さないことです。

最初の瞬間を逃さないことが何故大事なのか?
前回も書いたように第一印象とでも言うようなインパクトがあるからです。

次しかし、もう一つ別の理由があります。
それは「エピソード記憶が働きやすいから」という理由です。

次回はこの「エピソード記憶」の利用についてのお話の予定です。


★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第7回〜 エピソード記憶を活用 (2011/3/26)
└─────────────────────────────────

前回は第一印象が残っているうちに覚えるべしというお話でした。

今回は初見で覚えるべきもうひとつの理由について書きます。

言葉で表現できる記憶は「エピソード記憶」と「意味記憶」の二つに分類されます。
「エピソード記憶」は出来事の記憶です。
入学式、卒業式、学校、就職、結婚など思い出として思い出せるものは、全て「エピソード記憶」です。
時間、場所が密接に関係して、感情を伴うこともあります。

「意味記憶」は言葉の意味についての記憶です。
時間や場所にとらわれることの無い事実や知識の記憶です。

英単語、法律知識など勉強しなければいけないものは、どちらの記憶かと言ったら「意味記憶」になります。
時間や場所で記憶内容が変わることはないですし、事実や知識に当たるからです。

「エピソード記憶」は出来事の記憶ですから、一回体験しただけで記憶に残ります。
中学の卒業式、高校の入学式など人生の中で一度しか経験しないことでも
いつまでも記憶の中に残っているものがあります。

それに比べ「意味記憶」は繰り返し記憶に入れようとしないと記憶として定着しにくい記憶です。

では本来ならば「意味記憶」として記憶しなければならない知識も「エピソード記憶」として記憶するなら一回覚えるだけで済むはずです。
そして、実際にそれは可能なのです。

例えば、授業が上手な先生の授業というものはたいてい面白いです。
面白い話、記憶に残る話をしながら覚えておかなければならないことに結びつけて生徒の記憶に残るようにしているからです。

例えば、英単語を覚えるのも市販の単語帳で覚えるよりも物語のたくさん載っている学校の教科書で覚えたものの方が記憶に残りやすいものです。
それは教科書の物語、お話が単語そのものと結びついてエピソードを形成するからです。

初見で覚えるべきもう一つの理由とは今まで書いたとおり「エピソード記憶」として残りやすいからということなのです。

初めて「覚えるべきもの」と出会った時、それは学校の授業かもしれない、参考書や問題集の中かもしれない、人と話している時かもしれない。
その時の記憶が鮮明なうちに「覚えるべきこと」を記憶の中に定着させる行動をスタートさせることです。
そうすることで「エピソード記憶」が活用できるのです。


★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第8回〜 エピソード記憶を活用2 (2011/3/29)
└─────────────────────────────────

前回はエピソード記憶を活用しようというお話でした。

エピソード記憶とは何かということから始めて難しい説明をしたので今回はもっと簡単に説明します。

エピソード記憶を活用して暗記するには次の二つのことを守るだけです。

一つは前回お話しました。
始めて出会った時に覚えるための行動を開始することです。

そうすることで覚えなければならないことと出会った瞬間の記憶とともに機械的に覚えるよりもスムーズに覚えることができるようになります。

もう一つは出会った順番に覚える、または確認をすることです。

覚えるべきことは一つではありません。
一回の授業で10個も20個も覚えるべきことは出てきますし、参考書1ページに30個も40個も覚えるべきことが出てくるかもしれません。

以前、記憶には「想起」という過程が最も重要だということを書きましたが「想起」つまり思い出して確認をする作業を行うときに出会った順番で確認を行うことでエピソード記憶が上手く利用できるようになります。

「ああこの言葉に出会ったときは、ああいう授業だった。 次はこんな感じの言葉があったな。」
「確かこの用語の意味は一行上に書いてあったよな。」

などとただ単に記憶を確認するだけでなく、その時のシチュエーションが思い出されるようになるとエピソード記憶が上手く働いているということです。

試験ではいろいろな問題がランダムに出てくるのだから、ランダムな項目順で勉強すべきだと考えている方もいるかもしれませんが、ランダムに確認することは効率的ではありません。

ランダムに確認することは試験直前の実力把握の時にやれば良いので、普段の勉強では順番を無意味に変えないことが効果的なのです。

「平島式東大合格暗記術」シリーズでは確認の際に確認する順番を「登録順」か「ランダム」か選べますが今回のような理由から デフォルトでは「登録順」にしてあります。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第9回〜 ピンポイントで覚える (2011/4/1)
└─────────────────────────────────

今回はピンポイントで覚えることについて説明します。

「ピンポイントで覚える」とはつまり一度に一個の事だけを覚えるようにする
ということです。

わかりやすい例で言うと
「1185年に源頼朝は壇ノ浦で平家を滅ぼし、鎌倉に幕府を開き 1192年に征夷大将軍に任ぜられた。」
という出来事を覚えるのに
・1185年=平家が滅んだ
・平家が滅んだ最後の戦い=壇ノ浦の戦い
・平家を滅ぼした=源頼朝
・源頼朝=鎌倉幕府を開いた
・源頼朝が征夷大将軍になる=1192年
という風に分解して覚えるということです。

これは普通に誰でもがやっている勉強法なのですが、資格試験や大学入試のように膨大な知識量を必要とするものを前にすると忘れがちです。

分解して覚えた方が確実に覚えられるのに、いっぺんに覚えようとして不確かな記憶を積み重ねてしまい
自信の無さから何度も暗記を繰り返すことになります。
結果的に無駄に時間を費やしたことになるのです。

不確かな記憶を積み重ねると無駄な繰り返しが生まれます。
無駄な繰り返しを防ぐためには一つ一つの知識を確実なものにすること。
そのためには「ピンポイントで覚える」事が必要です。

「ピンポイントで覚える」とは言い換えると「一問一答式」で覚えるということです。
昔から「一問一答式」という小中学生用の問題集があるのをご存知でしょうか。

一つの問題に一つの答え。
このやり方が実は最も効率的な暗記を進める方法なのです。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第10回〜 一問一答式 (2011/4/8)
└─────────────────────────────────

前回はピンポイントで覚える方が効率的ということを書きました。

その最後に触れた一問一答式についてご存じない方もいらっしゃるようなので説明します。

一問一答式は今でもいくつかの出版社から中高生の学習用に問題集が出されています。
私が学生のころにあったものが今は無くなっていたり昔無かったシリーズが今はあったりと出版社やシリーズは違えど同じコンセプトの問題集はずっと出され続けています。

有名なところでは高校の歴史教科書で有名な山川出版から一問一答世界史、一問一答日本史などの問題集が出ています。

こういった一問一答式の問題集は短めの問題文と一つの答えという組み合わせが何百も集められて出来ています。

一問一答式の利点は
・問題が簡潔にできている。
・問題文の意図を考えなくて良い。
・ひっかけ問題のような意地悪な問題が少ない。
・繰り返し練習するのに向いている。
・短時間で出来る。
などたくさんあります。

記述式の問題や途中経過が必要な高校数学などには向きませんが、暗記中心の分野にはこの一問一答式が最も効率的だと思います。
私自身も中高生の時に使っていました。

ただ、残念なのは書籍という体裁で出ているので、もうわかっている問題、まだ繰り返しが必要な問題の区別がしにくいということがあります。
また出版社が想定する読者のレベルが自分と一致していない事があります。
たとえば、先に挙げた山川出版の一問一答はかなりハイレベルで細かく定期テスト向きではなかったりします。

チェック欄が設けられているものも多いのですが何をチェックするのか不明瞭です。
覚えたものをチェックするのか、覚えていないものをチェックするのか使う人に任せられているので、人それぞれの使い方があります。
実際にはあまり使っている人を見かけません。

結局、私が出した結論はやるたびに出来たか出来ていなかったのかをチェックしなければ、最終的に覚えたのか覚えていないのかを判定できないということです。

そして自分にあったレベルの一問一答式問題集は自分で作るしかないということです。

そんなに難しいことではありません。
無理せず自分ができる形で進めること。
詳しいきれいな問題集を作ろうなんて考えず、終わったところは破り捨てても良い程度のものを作ることです。

そうして作ったノートがたまっていくのを見るのも楽しいものでした。
自分が学習した結果が形として残っていくというのもモチベーションの維持に役立ちます。
それも自分なりの問題集を作ることを勧める理由の一つです。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第11回〜 勉強の工夫 (2011/4/15)
└─────────────────────────────────

前回は一問一答式について説明しました。

今まで色々と暗記法、学習法について書いてきましたが、大事なことをひとつ書き忘れていたことに気づきました。
すべての学習法に共通して言える大事なことです。

それは「自分で工夫して勉強する。」ということです。

自分で工夫することで自分に最も合ったやり方を見つけることができます。
なにより自分なりの工夫があればやる気もでます。

塾で中学生に教えていた時にも、生徒が入試やテストに向けて本気になってくると自分なりの工夫をして勉強を始めるようになるものでした。
「平島式」もそういう自分なりの工夫の積み重ねで出来てきたものです。

自分なりの工夫を考えるようになると、大事なのは工夫のしすぎで時間を取られていないかということです。

時折、工夫したつもりで逆に効率的でない勉強法をしている生徒も見かけました。
その勉強法で本当に結果が出せるのかはいつも検討していなければいけません。
自分で思いついた方法にとらわれて、もっと良い方法があることに目をむけないという場合もあります。

だからこそほかの人がどんな勉強法をしていたのかを参考にすることは大事ですし、他の人にやり方を真似することから始めてより自分に合ったやり方に変えていくという方法も効果的です。

勉強法の工夫と学習計画に関しては、作るのに時間がかかってはいけません。
勉強には結果を出すことが求められます。
そのことをいつも忘れないで工夫を重ねていくことが大切です。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第12回〜 実践・平島式(1) (2011/4/19)
└─────────────────────────────────

前回は勉強の工夫についてお話ししました。

今回から原点に戻って平島式の実践方法について書いていこうと思います。
原点に戻るという意味で題材は主に「英語」を取り上げて進めますので、特に英語の学習に役立つ情報も書いていきます。。

手元に大学ノートを用意するとそのまま実践できるように書きますので、興味のある方は是非一緒に試してください。

パソコンソフトで出ている平島式ですが、私が学生のころに大学ノートで行っていた方法が元になっています。

まずは基本的な大学ノートの使い方についてですが、英語に限らず他の科目でも大学ノートは一行おきに書きましょう。

行を詰めて使っていると、後でメモを書き加えたり、線を引いたり、囲んだりするようなことができません。

一行おきに書いて見やすくしておくことで、確認や復習がしやすくなります。
ノートをぱらぱらとめくって、内容を目で検索するときに検索しやすくなるという効果もあります。

用意した大学ノートに縦に2本の線を引きます。
チェック欄を一番左側に取れるように左はしから少し内側に1本。
残りのスペースが半分になるように真ん中近くに1本です。

チェック欄には後で小さく○か×を書き込んでいきます。
まずは6個の○×が書けるようにチェック欄のスペースを取ります。
横に3個、縦に2個
○○○│
○○○│
上のように書けるくらいのスペースがあれば結構です。

真ん中近くの線の左側は問題欄です。
線の右側が答えの欄になります。

下の図のようになっていればOKです。

(チェック欄)  (問題欄)          (答えの欄)
↓         ↓               ↓
│                │
│                │
│                │
│                │
│                │
│                │
│                │
│                │

これで準備が整いました。

次回、一日目に行うことを説明します。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第13回〜 実践・平島式(2) (2011/4/22)
└─────────────────────────────────

さて前回は大学ノートでできる平島式の準備についてお話ししました。

今回は実際に使用していく一日目についてです。
大学ノートは下の図のようになっていると思います。

(チェック欄)  (問題欄)          (答えの欄)
↓         ↓               ↓
│                │
│                │
│                │
│                │
│                │

一日目は登録していくだけの日になります。
一度書き込んだものは、その日に見直したり、復習したりしてはいけません。
以前書いた通り、記憶するには「想起」という過程が最も効果が上がります。
一日に何度も見直すのは「想起」ではなく「記銘」をしているだけということになります。

自分が学習している内容で覚えておくべきものをこのノートに書き込んでいきます。
自分で、一問一答式を作りながら書き込んでいくわけです。
書き込んでいく際のポイントをあげていきます。

・できるだけ初めて見た瞬間に書き込む。メモを取るような感覚で。
・問題、答えとも簡潔に書く。
・一つの問題に一つの答えになるように書く。
・一行ずつ空けて書く。

意外と大事なこととして
「一日にたくさん書きすぎないこと」ということもあげておきます。

新しい方法を始めようとする時、やる気にあふれて自分ができる以上のことをやろうとしてしまいがちです。

平島式の基本は毎日チェックすることです。
一日に20個書き込んだとして七日目には140個になります。
140個チェックするならそれほどの時間はかかりませんが、これが300個、500個となるとチェックするだけでも大きな労力になってきます。。

もちろん、それでも自分の限界までやる気で取り組むことには大賛成です。
私は英語が得意科目でしたが、それは平島式のやり方でわからない単語をもれなく拾っていったおかげです。

ただし何もかも登録していきつつ、チェックできない日があったりすると本当に一日にチェックできない量の問題がたまります。
ひどい時はチェックするだけで2時間、3時間とかかり他の勉強ができない状態になることもありました。

そういう時は「リセット」です。
新しいページから登録を1からやり直します。
今まで登録した問題は、どうしても必要なものだけを書き写してチェックをやめます。

「リセット」のマイナスよりも「毎日続けること」の方が重要です。
私の場合は「リセット」を何回かやりながら毎日続けることで中学3年の夏くらいには高校入試用の英語の問題集で知らない英単語がほぼ無くなりました。
大学入試の時は高3の秋以降、英語の勉強はほとんどしませんでした。

「継続は力なり」
使い古された言葉ですが、本当にそう思います。

次回は平島式2日目チェック方法について書く予定です。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第14回〜 実践・平島式(3) (2011/4/26)
└─────────────────────────────────

さて前回は平島式で第一日目におこなうことについて書きました。

今回はチェックの始まる二日目以降についてです。
大学ノートは下の図のようになっていて一日目に書き込んだ問題と答えがある状態です。

(チェック欄)  (問題欄)          (答えの欄)
↓         ↓               ↓

───┰────────────────┰────────
│                │
│                │
───┼────────────────┼────────
│                │
│                │
───┼────────────────┼────────
│                │

二日目からは登録とチェックを毎日おこないます。

登録の仕方は一日目と同じです。

チェックの仕方を説明していきます。
といっても簡単なことです。
答えの欄を隠しながら問題欄を見て、答えを考える。
自分が考えた答えが答えの欄と合っていればチェック欄に○を合っていなければチェック欄に×をつけていくだけです。

ここで大事なのは覚えることが目的であることを忘れないことです。
答えを考えるというよりも答えを「思い出す」ことを意識してください。
これは「思い出す」訓練であって、正解を出す訓練ではありません。
つまり思い出すのに時間がかかりすぎるようなものは×をつけるということです。

二日目のチェックの後のチェック欄はこのようになっています。
     │
───┼─
○    │
     │
───┼─
○    │
     │
───┼─
×    │
     │
───┼─
     │

三日目にも同じようにチェックを繰り返して、チェック欄に○か×を記録していきます。
三日目以降のチェック欄の状態を下に示します。

───┼─
○○○│六日目
○○  │
───┼─
○○○│五日目
○    │
───┼─
○○○│四日目
     │
───┼─
○○  │三日目
     │
───┼─
○    │一日目
     │
───┼─
     │初日

実際には一日にいくつか登録していくので、たとえば一日目の問題が10個、二日目の問題が20個、三日目の問題が5個、という風に並んで行くことになります。

さてここまで行くと次は七日目になります。
七日目にはチェック欄が埋まって次の作業が待っています。

七日目は次回に。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第15回〜 実践・平島式(4) (2011/4/29)
└─────────────────────────────────

さて前回は平島式で二日目以降におこなうことについて書きました。

今回は第一日目に書き込んだもののチェック欄が埋まる七日目におこなうことについて書いていきます。。

七日目にチェックを行う前に、第一日目に書き込んだ部分のチェック欄は次のようになっています。○と×の数はチェックの途中経過により異なっています。

───┼─
×××│ A
○×  │
───┼──
○×○│ B
○×  │
───┼─

七日目のチェックでこのチェック欄が埋まることになります。
例えば七日目のチェックで上の二つがどちらも○だったとします。
そうするとチェック欄は次のようになるはずです。

───┼─
×××│ A
○×○│
───┼──
○×○│ B
○×○│
───┼─

この時最後のチェックの基準として○が3個以上あるものは合格です。
つまり○が半分以上であればそれは「覚えた」とみなします。
上の例でいうとBは合格です。Aは不合格ということになります。

では不合格になったもの、つまり×が4個以上つけられたものはどうするか。
不合格になったものは、ノートの今日覚えなければいけない単語を
書く場所に書き写します。
不合格になったものはこれからまた6回のチェックを繰り返すことになります。

この方法なら、一度覚えようとおもったことはいつでも思い出せるようになるまで、暗記用のノートのチェックすべき部分から消えることはありません。
確実に覚えていくことで、忘れたり思い出せないということが減り、勉強を効率的に進めることができるようになります。

合格した単語はひとまずは暗記終了です。
問題の中で出会って思い出せなかったり、間違えたりしたらもう一度登録します。

七日目のこのチェックが「平島式」のキモです。
このチェックを厳しくするか、易しくするかで効果も変わってきます。

次回はこの最終日のチェックのコツについて書く予定です。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第16回〜 実践・平島式(5) (2011/5/2)
└─────────────────────────────────

さて前回は平島式でチェックの最終日におこなうことについて書きました。

今回は最終日のコツについて書いていきます。

前回までに説明した「平島式」の方法では一日目に問題と答えを記入して6回チェックを行います。
一日一回チェックを行うとすると七日間、一週間で一回りするわけです。
また、合格の基準を6回のチェックのうち3回まで×でも合格としています。

この基準は私が英単語を覚えるために最善だと思った数から来ています。
こういったチェック回数や合格の基準は、自分の能力や科目の特性に合わせて変えていった方が良いでしょう。

例えば歴史や地理のような暗記科目ではチェック回数を減らし、合格基準を高くするような方法が考えられます。

チェックするとき時間がどれだけかかるのかも○にするか×にするかの基準の一部になります。
自分に厳しく採点するような人が、すぐに思い出せないものを全部×にしているといつまでたっても暗記すべきものの量が減らず、平島式は行き詰ってしまいます。

大事なことは続けられるペースで基準を作ることです。
まずはスタートさせること。ある程度続けていく間に自分なりのペースを作ってチェック回数や合格基準を変えていくというのが、効果を最大にするためには重要です。

他にチェックする際のコツを挙げておくと
・絶対に覚えておかなければいけないことには最初から×を一つか二つつけておく
・日付の変わり目には何か印を入れておくと便利です。
・答えの部分を隠しながらチェックするので隣のページが見えないようにチェックする
というのも大事です。

あとゲーム感覚というか遊び感覚で続けるというのが実は大事なのかもしれません。
この暗記法はゲームみたいなものです。
ご褒美に使い終わった大学ノートが積みあがっていきます。
私も大学ノートがたまっていくのを自分がやった分の足跡としてしばらくは取って置いていました。

勉強するときも何かしらゲーム的な要素があるとやる気がでます。
「平島式」は自分一人でやる勉強ゲームといってもいいかもしれません。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第17回〜 英語編(1) (2011/5/6)
└─────────────────────────────────

前回までで平島式の暗記法について、一通り説明しました。

今回から英語の勉強法について書いていこうと思います。

平島式はもともと英語を効率よく暗記するための方法から生まれたものです。
英語は暗記が全てです。
一部の帰国子女や英語を使う家庭に育った人以外の日本人は、ほぼ100%英語を0から学びます。

0から学ぶということは、英語という科目で学ぶことは全て暗記しなけらばならないものだということです。
ボキャブラリーはもちろん、文法、発音、アクセント、会話、構文など外国語を使えるようになるために習得しなけらばならないことは多岐にわたります。

英語を覚えるにあたって、何から優先すべきかというと、発音から覚えるべきというのが私の持論です。。

平島式の英語系ソフトをお持ちの方にとっては意外かもしれません。
実は平島式の英語系ソフトには発音に関する音声データが入っていません。
発売したときにお客様から音声データがなぜ入っていないのですか、という声をいただいたこともありました。
今回、お話しするのはパソコンソフトの「平島式」英語系タイトルで、発音をカバーしていない理由です。

英語の発音は日本人にとって難しいといわれます。
私が大学の時に受講した比較言語学の授業では教官が英語が難しいのは日本人にとってだけではなく、英語を母語としない他の外国人にとっても難しいのだと言っていました。

世界中の言語を基礎的な母音の数で分類すると、5個しかない言語が最も多いのだそうです。日本語もこの中に入ります。
母音を表すアルファベット自体がa、e、i、o、uの5個です。
それに比べると英語の母音の数は研究者によってカウントの仕方が異なり、少なくて9個、多目にカウントすると30個にものぼります。
母音の数が多い言語の中でも英語はとびぬけて多いのです。

そして英語を難しくしている最大の要因は、つづりと発音の不一致です。
この不一致(と思われていること)こそが英語を覚えることを困難にしています。

例えばfatherではaを「ア」または「アー」と発音するのに対し、waterではaを「オ」または「オー」を発音する。
例えばcutではuを「ア」と発音するのに対し、cuteではuを「ユー」と発音する。
一見するとつづりが不規則に発音されているように見えます。

色々なつづりがどう発音されるのかということには実はルールがあります。
この規則性は複雑なものですが、この規則性から発音を指導する方法に「フォニックス」と呼ばれる方法があります。

「フォニックス」自体が教育方法としてアメリカで賛否両論があったようで、日本に本格的に導入されたのが1980年代からです。
それ以前の学生である私が「フォニックス」を支持するのは、英語を勉強する中で「フォニックス」と同じルールを見つけていたからで
「フォニックス」として教えられていたら自分で辞書を引きながら苦労することもなかったと思うからです。

今では「フォニックス」は大きめの書店で英語の学習書の棚を見ると何冊か関連する書籍が置いてあります。
また、中学や高校の英語の教科書にもフォニックスの考え方は取り入れられています。
もし今から英語にもう一度挑戦しようと考えている方には、まずはフォニックスを勉強することをお勧めします。

フォニックスを学習することで得られることはとても大きいものです。
フォニックスは発音からつづりを構成することを可能にします。
英単語を覚えるのに複雑で一見不規則に並んでいるアルファベットを覚える必要がなくなるのです。

例えば次の日本語の文章を聞いたと思ってください。
「わたしわ、えいごお、まなんで、がいこくえゆきたい。」
と言われたとして、それを書き留めると
「わたしは、えいごを、まなんで、がいこくへいきたい。」
となります。

日本語でも発音とつづりはずれていますが、日本人はそのずれの規則性を理解しているのでつづりが構成できます。

英語も同じです。
発音とつづりのずれの規則性を理解していればつづりを一つ一つ覚える必要がなくなります。
覚えるべきものは「正確な発音」です。
「正確な発音」を覚えていればつづりのルールから英単語のつづりを構成できます。

もちろん英語には日本語に比べると、たくさんの「例外」があります。
しかしフォニックスのルールを掘り下げていくとその「例外」はほとんどが理由のある「例外」で、例えば外来語であるとか、英語の古語である「古英語」のつづりが残っているなど、実はほとんどの場合に規則性が存在しています。

英語をある程度使いこなせる人にとってはフォニックスのルールは、常識であって特別に覚えるほどのことでないと思います。
しかし英語の初心者レベルやなかなか上達しない人、再挑戦を考えている人にとっては、このフォニックスのルールをつかんでいれば、英単語を覚える労力は半減します。

実はこのような考えがあって平島式の英語系ソフトでは音声データを入れなかったのです。
まずはつづりと発音のルールを押さえることから英語の学習は始まります。
一つ一つの単語の発音を個別に覚えることは非効率です。
効率的に覚えるにはつづりと発音のルールを覚えておくことが必須なのです。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第18回〜 英語編(2) (2011/5/20)
└─────────────────────────────────

前回から英語の勉強法についての話になりました。
前回は英語の勉強は発音の勉強から始めるべし、特につづりと発音のルールであるフォニックスから学ぶべし、というお話でした。

再度強調しますがつづりと発音のルールが身についていれば、英語のつづりを一つ一つ覚える必要がなくなります。
少数の例外のつづりはありますが、正しい発音を覚えることでつづりが自動的に書けるようになります。

さて、正しい発音を覚えるというと、それだけで身構える方が多いですね。
アメリカ式英語のうねるような感じ、RだかLだか区別がつかないけどとにかく舌が巻いているような発音。
中学生のころ帰国子女の同級生があの発音をすると「うわー」と思いました。

しかし、日本人に向いている正しい発音というのが実はあります。

それはイギリス式の発音です。

特に大学受験でよく出るような難しい発音問題をパーフェクトにこなすにはイギリス式でないと間違いを犯しやすいのです。

学校の英語の教師でも間違えていることがある問題を出してみます。

(問い)
次の単語の中でアクセントのある母音の発音が同じものはどれとどれか?
country
soccer
can
pot

countryとsoccerと答えた方、残念間違いです。
同じ発音がないと答えた方、惜しいけど間違いです。
アクセントのある母音の発音が同じになる正解はsoccerとpotです。

soccer=「サッカー」、pot=「ポット」と考えていると間違えます。
実は「サッカー」はアメリカ英語由来の発音でアメリカではpotを「パット」のように発音するわけです。
イギリス式の発音では「ソッカー」となります。

日本語に入っている英語由来の外来語の発音は実はイギリス式のものが多く、「サッカー」は例外的にアメリカ英語由来です。
外来語の発音と同じように覚えられる分イギリス式の方が覚えやすくなります。

またイギリス式の発音は舌を巻いたようなRの発音が無く、日本人でも無理なく真似できます。

「イギリス式で発音は覚えよう」というのが今回のお話でした。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第19回〜 英語編(3) (2011/5/24)
└─────────────────────────────────

前回は「発音はイギリス式で覚えよう」というお話でした。

今回は英単語を覚えるにあたって「覚える方向」についてです。

英単語を覚えるには
「日本語」→「英語」の方向で覚えないと使える英語になりません。
「走る。」の意味の英単語は何か? → "run"
「ノート」の意味の英単語は何か? → "notebook"
「〜に参加する。」の意味の英語は? → "take part in 〜"
のように問題は日本語の意味、答えはその意味を持つ英語というふうに問題を作って覚えるべきです。

「英語」→「日本語」の方が覚えるのが楽です。
中高生の時、テスト前の時間がない状況でこの方向で覚えようとする生徒が多いのを見てきました。

しかしこの方向で覚えると、使える英語にならない上に結局「日本語」→「英語」で覚える必要に迫られるので時間の無駄になってしまいます。

日本語の意味から英語が答えられるようにしておくことで、英会話、英作文、空欄補充問題など覚えている英語をフルに使うことが必要になる問題に対応できるようになります。

また、そういう覚え方をしておかないと、学校の英語から使える英語へと繋がって発展することが難しくなります。

実は市販の英単語集の弱点がここにあり、自分用の暗記用ノートを作ることを勧める理由の一つでもあります。

市販の英単語集は目次や索引、並び方が英単語をもとにしています。
そのためどうしても「英語」→「日本語」という覚え方になりがちです。
もちろん非常に良い内容の英単語集もあるのですが、「日本語」→「英語」という覚え方を積極的に進められるような作りになっているものがありません。

市販の英単語集を使うのは良いのですが、覚えることに関しては、自作のノートに書き写して覚えるのが最も効率的です。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第20回〜 英語編(4) (2011/5/27)
└─────────────────────────────────

前回は「覚える方向」についてのお話でした。

さて英語の勉強法の基本について一つ書き忘れていたことを思い出しました。
今回は「音読の効用」について書きます。

「英語は音読して勉強しなさい。」
こう主張する英語の先生がいます。私もその一人です。
音読でなくても、英単語は声に出して読みながら勉強するべきです。
ところが生徒たちはなかなか音読をしません。もったいない話です。

音読を伴わない勉強は「目」だけで勉強しているようなものです。
音読をすることで「目」と「口」と「耳」で勉強することになります。
単純に同じ時間に3倍の勉強をしているのと同じです。

脳の部位でいうと「視覚野」だけでインプットしていたのが声に出して勉強することで「運動野」「聴覚野」も活発に働き、それに関連する様々な部位も同時に活性化するそうです。

他の人がいる教室や移動中に声を出したくないのは、わからないでもありませんが、自分一人で勉強するときくらいは、はっきりと声に出して勉強しましょう。

そして声に出して勉強することで発音も良くなっていきます。
初心者レベルのつたない発音では声に出すとスピードが上がりません。
しかし、自分の英語力の伸びに合わせて、読むスピードが上がり、スピード感のある英語は自然とこなれた発音になっていきます。

この時"L"と"R"の発音も区別して読んでおくと、さらにお得です。
日本人には区別できないと良く言われる"L"と"R"の発音が区別できるようになります。
自分が区別して声に出していると、耳もそれに合わせて能力が上がるのです。

教科書や参考書には難しいことが書いてありますが、"L"と"R"の区別なんか簡単です。
"L"は舌の先を歯の付け根にあてて発音する。
"R"は舌の先をどこにもつけないで発音する。
それだけの違いで十分です。
その違いを自分でつけておくことで、聞き分けの能力もついてきます。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第21回〜 英語編(5) (2011/6/3)
└─────────────────────────────────

前回は「音読の効用」についてのお話でした。

今回は「音読の効用」のその先のお話「英語を英語のまま理解する」についてです。

「英語を英語のまま理解する」とは日本語にしないで理解するということです。
最も簡単にできるようになる方法は日本人がいない英語圏で生活することです。

英語に囲まれた生活は否が応でも、日本語で考える余裕を許さず、日本語で考えないで英語で考えることが強要されます。

しかし日本で普通に英語を勉強していて同じようなシチュエーションを持てる人は稀です。
英会話学校でさえも日本語で考える余裕を与える講師であったり、日本語で考える余裕のある指導方法になっていることが多いです。

ところが、音読を繰り返すことで、自分でこの「英語漬け」の状況を作り出すことが可能です。

まずは音読する英文の意味を完全に正確に把握した後、自分のスピードで音読を始めます。
音読をしながらその意味をイメージします。

この「イメージ」という部分が大切です。
日本語で「イメージ」するのではなく映画や物語のシーンをイメージするように情景や意味するところを
頭の中で想像しながら追っていくのです。

始めは日本語がどうしても出てくると思いますが、音読を繰り返すことで「イメージ」だけで追っていくことができるようになります。
こういった「イメージ」トレーニングを色々な文章で行うことで日本語を使わずに英語だけで意味を追っていくことができるようになります。

難しそうに聞こえるかもしれませんが、例えば中学一年生レベルの"hello." とか " This is a desk." といった文章であれば英語のまま理解できる人は多いと思います。
ただその文章をだんだん複雑に高いレベルにしていくだけなのです。

英語を英語のまま理解できるようになることが英語を使いこなすための第一歩になるのです。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第22回〜 英語編(6) (2011/6/10)
└─────────────────────────────────

前回は「英語を英語のまま理解する」には音読だということを書きました。

今回は英語と日本語の共通点についての豆知識です。

日本語と英語に共通点なんかあるのか?
そうですね。
英語由来の外来語くらいで、共通点といえるものはほとんど無いように見えます。

でも実は大きな共通点があるのです。

「日本語は世界で最も難しい言語だ。」と言われることがあります。
これはあたっている部分もあり、外れている部分もあります。
中学や高校で習う国語の文法分野のせいで日本語の文法は難しいというイメージが持たれています。
このイメージは間違っていて、日本語は世界の言語の中でも文法が簡単な言語です。

実は外国人が日本語を習う際に使われる文法は私たちが学校で習っていた文法と違いすっきりとまとめられて覚えやすいものになっています。

同じ日本語のはずなのに外国人が覚える文法の方が簡単だなんておかしい話ですが、原因は学校の文法では「かな」を使って教えていることにあります。
それに対して外国人の習う日本語の文法ではローマ字を使って教えられます。
ローマ字を使うことで動詞や形容詞の面倒くさくって覚えるのが大変だった「活用」が簡単に説明できるものになるのです。

一方、おそらく世界一難しいと言って良い日本語の特徴は「正書法」です。
ひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベットをごちゃまぜにして書くことができ、同じ文を漢字仮名交じりで書いたり、子供向けに全部ひらがなで書いたりできます。
読むときには同じ漢字を訓読み、音読みと何通りも読み分けて正しい読み方を前後から推理して読まなければならない。
日本語は非常に珍しい「正書法」を持っていて、同じようなルールを持っているのは、ヒエログリフで書かれた古代エジプト語くらいだと聞いたことがあります。

さて、そんな複雑な「正書法」を日本語が持つ原因になったのは「外来語」が原因です。
日本史の始まりのころから輸入され続けた古代の「中国語」。
戦国時代に入ってきたポルトガル語などヨーロッパの単語。
明治維新以降大量に輸入された英語、ドイツ語、フランス語など。
特に中国語の影響は大きく、今の日本語は古代の大和言葉と古代中国語の子孫と言って良いくらいです。

英語との共通点とはここです。
英語も「外来語」のせいで複雑になっています。
英語の場合は古代のゲルマン系言語とロマンス系言語の子孫で両方の言語の性質を受け継いでいます。
二つの系統の言語が文法的にも語彙的にも混ざり合っているのです。

その結果、英語は日本語と同じように「外来語」に対して寛容です。
産業革命以降、科学技術が発達して以来、科学技術用語の多くはギリシア語やラテン語から作られました。
そのギリシア語やラテン語をほとんどそのまま語彙として取り込んでいく力が英語にはありました。
それが英語が現在の世界の共通語として使われるようになった要因の一つなのです。

共通点といっても遠い共通点かもしれませんが、世界一難しいと言われる日本語を使いこなせる日本人なんですから、がんばれば英語を使えるようになるんですよ。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第23回〜 英語編(7) (2011/6/17)
└─────────────────────────────────

平島です。

この連載も20回を越え、英語編も7回目になりました。

これまで連載の話題の流れで関連することを順に書いてきましたが、どうしてもはみ出てしまう話題があったり、以前書いた内容と関連して書き残している話題があったりします。

今回はそんな話題の一つ『アンシェヌマン』についてです。
『アンシェヌマン』なんて聞いたことのない方がほとんどだと思いますが、要するに『英語をかっこよくしゃべるコツ』についてです。

以前、塾講師をしていた時に、中学2年生の生徒たちに教えていると、ことごとくカタコトの英語の発音で速く文章が読めないということがありました。
生徒たちは地域の中学校で同じ先生に英語を習っているそうで、多分その先生が発音の指導をほとんどしていなかったのだと思います。

英会話は英語を使うという思い切りが重要で、発音は二の次ではあるのですが、あまりにもカタコトの発音は勉強の効率を落としますし、英会話ができる段階まで進んできた時や、外国人と英語を話すチャンスに出会った時に
発音が通じなくて自信を無くしてしまう原因にもなります。

そこで生徒たちに教えていたのが『アンシェヌマン』です。
『アンシェヌマン』はフランス語の発音ルールで、必ずしも英語の発音では強制的なルールではありません。
そのため学校でも教えられることがあまりありません。

しかし『アンシェヌマン』ができるとすらすらと英語を読めるようになりますし、『アンシェヌマン』の入っている英語のリスニングができるようになりますし、何より「カッコイイ」英語になってきます。

"an apple"という英語を「アン アップル』と読むのではなく「アナップル」と読むのが『アンシェヌマン』です。

"This is an apple."という文はゆっくり読み上げる時には「ズィス イズ アン アップル」と読みます。
これは『アンシェヌマン』していない発音です。

"This"と"is"が『アンシェヌマン』すると「ズィスィズ」と発音されます。
"is"と"an"『アンシェヌマン』すると「イザン」と発音されます。
"an"と"apple"が『アンシェヌマン』すると「アナップル」と発音されます。
"This is an apple."という文を全部『アンシェヌマン』させると「ズィスィザナップル」という発音になります。

単語間の音の連続というこの『アンシェヌマン』という現象、フランス語では強制的に単語がつながるのですが、英語ではつながったりつながらなかったりしゃべる人の自由です。

ここまで極端に『アンシェヌマン』しなくても発音は十分にきれいになりますが、実際のネイティブの発音にはこの程度の『アンシェヌマン』はよくあります。

リスニング力をつけるには『アンシェヌマン』している音を聞き分けることが必要になります。
効率よくリスニング力をつけるためには、自分が『アンシェヌマン』して英文を読むようにしておくと良いですね。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★平島式東大合格暗記術の秘密 〜第24回〜 英語編(8) (2011/6/21)
└─────────────────────────────────

平島です。

前回は『アンシェヌマン』という発音の規則について書きました。
"an apple"を「アン アップル」と発音せずに「アナップル」と発音するのが『アンシェヌマン』です。
連続する二つの単語で、前の単語が子音で終わり、後の単語が母音で始まるとき、その子音と母音がくっついて一つの音のように発音される現象です。
『アンシェヌマン』して英語を発音することでカッコよく速く発音できるようになリます。

というお話を書いたところ、自分も高校時代に教わった。
けど『アンシェヌマン』ではなく『リエゾン』と教えられて『リエゾン』『リエゾン』と言われていた。
というご意見がありました。

「リエゾン」もフランス語の発音ルールで、確かに「アンシェヌマン」に似ています。
が、「リエゾン」はまた別のルールで、英語にも似たようなルールがあります。
英語では「R-linking」と呼ばれ、単語の語尾が"r"の時に出現します。

英語には"r"で終わる単語がたくさんありますが、その単語の次に母音で始まる単語が続くと「ラ」「リ」「レ」「ロ」といった音が発音されるというルールです。

例えば中学1、2年生で習う"There is 〜""There are 〜"という構文は"There"だけなら「ゼア」と発音されますが、後に"is"や"are"が続くと"There is"は「ゼアリズ」、"There are"は「ゼアラー」と発音されます。

他にも「気遣う。」という意味の"care"「ケア」がing形の"caring”になると「ケアリング」というふうにはっきりと「リ」の音が発音されます。

「リエゾン」や「R-linking」というのはこんな風に一つの単語では発音されないつづりが、単語がつながることで読まれるようになるという仕組みです。

この「リエゾン」や「アンシェヌマン」で発音を改善するだけで音読のスピードが素晴らしく改善されます。
音読のスピードが改善されれば、黙読のスピードも改善されますし、ひいては学習全体の効率が大きく上がります。

音読が大事ということを以前書きましたが、音読で効果的に英語力をつけるためにも、この発音のコツを身に着けることがお勧めです。

★……★★★……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
│★島式東大合格暗記術の秘密 〜第25回〜 英語編(9) (2011/6/24)
└─────────────────────────────────

平島です。

前回まで『アンシェヌマン』と『リエゾン』いう発音の規則について書いてよく考えてみるとその二つだけではどんなに練習しても念仏みたいな英語になってしまうことに気づきました。

もう一つ、大事なものがありました。
それは「強弱のリズム」です。
英語は強弱アクセントの言語で、一つの単語に強く読む部分と弱く読む部分があります。

単語のアクセントを元にして、文章全体に強弱のリズムをつけることで、なめらかな英語、カッコいい英語になってきます。

まずは単語のアクセントですが、単語のアクセントの位置のルールは、それだけで参考書で何ページも費やすような内容になるのでここでは触れません。
しかし、大学入試、高校入試といったような発音を問う問題で問われる場所はほぼ100%アクセントのある部分です。
つまり発音とアクセントどちらを先に覚えるべきかというなら、それはアクセントです。
アクセントのある場所がわかっていれば、アクセントの無い場所の発音は適当で良いからです。

冗談ではなくアクセントの無い場所の母音は適当に発音されます。
英語を聞き取りづらく思う原因の一つがここにあります。
自分が適当に発音する練習をしていないと、他人が適当に発音する言葉が聞き取れなくて当たり前です。

例えば"thirty"という「30」という意味の単語ですが「サーティー」と発音するとき「サー」を強く読むと"thirty"と理解してもらえますが「ティー」を強く読むと"thirteen"と言っていると誤解されます。
ネイティブはアクセントのある場所を聞いているので「サーティーン」の「ン」まで発音しなくても「ティー」が強く読まれるのは"thirteen"だと
聞き取ってしまうからです。

アクセントのある場所ははっきりと強く、無い場所の母音は適当に。
というのが英語を音読するコツの一つです。
何度も繰り返しますが音読を繰り返すことでリスニング力も伸びていきます。

さらに文章全体にアクセントの強弱をつけていくと、その文章でテーマになっている単語は必ず強く発音されます。
品詞でいうと名詞、動詞、形容詞、副詞、疑問詞など強い意味を持つ単語が主に強く発音されます。
逆に冠詞、前置詞、be動詞、助動詞など意味の補足的な働きが大きいものは弱く発音されます。

そして、さらに弱く発音する部分は速く発音されます。
適当に発音しているので早く読んでも問題ないとでもいうかのようです。

結果として英語の文章は
(弱-)強-弱-強-弱-強-弱-強-弱-
というように強弱の波を作りながら発音されます。
そしてカッコよく発音するコツは、このリズムを一定の間隔で刻むことです。
英語って音楽的な言語なのです。