平成16年度 法律改正情報
<民法の改正>(平成16年4月1日施行)
改正(もしくは削除)された条文番号を以下に列挙する。
306、308、359、363、371、378、379、380、381(削除)、382、383、384、385、386、387、389、395、398ノ19、398ノ20、577
■主な改正点
担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部改正について (民事執行法に関するものは除く)
1 改正の目的
抵当権等の担保物権の内容及び実行手続を、現代の社会・経済情勢に適合したものに改める。
2 改正の要点
(1)担保物権の規定の合理化
@ 雇人給料の先取特権の範囲の拡大(308条 等)
民法の規定する先取特権の被担保債権について、「最後の6か月間」の給料という制限を撤廃するなど、範囲が拡大された。(改正308条)
雇用関係の先取特権は給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づき生じたる債権につき存在す

A 抵当権の実行方法の多様化(371条 等)
抵当権の実行方法として、競売に加えて、不動産の賃料等の収益から優先弁済を受ける手続きを創設した。(改正371条)
抵当権はその担保する債権につき不履行ありたるときはその後に生じたる抵当不動産の果実に及ぶ


B 抵当権と利用権との調整の合理化(395条 等)

短期賃貸借制度を廃止する一方、建物賃借人に対する6か月間の明渡猶予制度及び抵当権者の同意により賃貸借に対抗力を与える制度を創設した。(改正395条)
抵当権者に対抗することを得ざる賃貸借により抵当権の目的たる建物の使用又は収益をなす者にして左に掲げたるものはその建物の競売の場合において買受人の買受の時より3箇月を経過するまではその建物を買受人に引渡すことを要せず
1 競売手続の開始前より使用又は収益をなす者
2 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後になしたる賃貸借により
  
使用又は収益をなす者

(2)その他の改正点

@改正378〜386条(抵当権消滅請求)
  • 抵当不動産につき所有権を取得した第三者は、その代価等の金銭を抵当権者に提供して抵当権消滅請求をすることができる。
  • 抵当権実行の際の通知、増価競売制度は廃止された。
A改正398条の19(元本確定請求)
  • 元本確定期日を定めていない場合、根抵当権設定者は、根抵当権設定時から3年を経過したときは、元本確定を請求することができ、この確定請求から2週間経過後に確定する。また、根抵当権者は、いつでも元本確定を請求することができ、この請求時に確定する。
B改正398条の20第1項1号(元本の確定事由)
  • 削除された。