福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害者に対し、生活しやすい住環境を提案する人です。
医療、福祉、建築の各分野について幅広い知識を使い、専門家との連携により最適な住宅改修プランを提案します。
また、福祉用具や諸施策の情報についてもアドバイスします。
3級は福祉と住環境についての基礎的な知識。2級は実務レベルの幅広い知識と、各専門家と連携して具体的な提案のできる能力が求められます。
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福祉住環境コーディネーターとは |
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65歳以上
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総人口% |
1960(昭和35) |
540万人 |
5.7% |
1985(昭和60) |
1,247万人 |
10.3% |
1995(平成7) |
1,826万人 |
14.6% |
2012(平成24) |
3,079万人 |
24.1% |
2035(平成47) |
3,741万人 |
33.4% |
2060(平成72) |
3,464万人 |
39.9% |
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我が国における人口分布動向においては、世界に類をみない「超高齢化社会」に突入していきます。
高齢者(65歳以上)は今や、過去最高の3,190万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は、25%と過去最高を示しております。
さらに20年後の平成47年(2035)には、総人口の3人に1人(33%)となり、その後もこの傾向は続き、47年後の平成72年(2060)には40%に達し、国民の2.5人に1人は65歳以上の高齢者となる社会が予測されます。
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一方、平均寿命は、平成24年(2012)、男性79.9歳 女性86.4歳で、平成72年(2060)には、男性84.2歳 女性90.9歳と予測されています。
その中で、高齢者を取りまく環境は
・高齢者(65歳以上)世帯は全体の4割、うち「1人」「夫婦のみ」世帯が過半数
・子供との同居は減少
・1人暮らし高齢者の増加傾向で、平成22年(2010)高齢者人口の男性11%、女性20%となっています。 |
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このような背景において、
高齢者、障害者の方に関する、医療、保健、福祉から、建築、住宅構造、福祉用具までの幅広い知識をもち、それぞれの分野の専門家と連携し、個々の身体状況をはじめ、さまざまな生活上のニーズに応じた最適な住宅環境を提供する役割を担っていくのが【福祉住環境コーディネーター】です。
検定試験は東京商工会議所の主催で、1999年5月に3級、2000年に2級がスタートし、2002年には、1級試験も始まりました。
※工務店・リフォーム会社と医療・福祉の専門家との、それぞれの専門性を生かしながら、本人の必要とする、最適環境を提供していくのが、まさに福祉住環境コーディネーターの社会から求められる重要なポジションであると言えます。 |
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内閣府が2014年公開した「高齢社会白書」によると、「分の体が衰えた時に済みたい家」で自宅をリフォーム(改装)して住み続けたいという人が増えています。
「高齢になっても、障害があっても、住みなれたところで暮らしたい、・・・」という人が60歳以上対象で、66.4%います。
ただ、自分の体が弱ったり、何らかの障害がおきたりした時、自宅内、外出先でのいろいろなリスクがあるのは、事実です。その中で、高齢者による事故は、その7割強ほどが住宅内と言われています。 |
事故発生場所(65歳以上)の割合
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住宅
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77.1%
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一般道路 |
7.0%
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民間施設 |
8.2%
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その他 |
7.7%
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計 |
100.0% |
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家庭内事故の「場所」
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居室
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45.0%
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階段
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18.7%
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台所・食堂
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17.0%
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玄関
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5.2%
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洗面所
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2.9%
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風呂場
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2.5%
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その他
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8.7%
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計 |
100.0% |
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家庭内事故の「きっかけ」
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階段の転落
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30.4%
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歩行時の転倒
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22.1%
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さわる・接触(調理時の熱)
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14.5%
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刺す・切る
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10.1%
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誤飲・誤嚥
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9.3%
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ぶつかる・当たる
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6.8%
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その他
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6.8%
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計 |
100.0% |
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このように、高齢者が家庭内で起こした事故で骨折、寝たきりになるなど、入院を余儀なくされる事例が若年層の2倍を示しています。
・高齢者、障害者が自宅で安全に、便利に暮らせる
・高齢者、障害者が自立した日常生活を送り、活動への意欲を高める事ができる・・など
↓
住環境整備によって 高齢者、障害者本人のみならず、介護者の負担軽減もできます。
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福祉住環境コーディネーターの主な仕事の内容 |
福祉住環境コーディネーターは医療、保険、福祉、建築など幅広いジャンルの知識を身につけ、実際に住環境整備を進める中では、本人のヒアリングは勿論ですが各専門家との折衝、調整が大変重要となってきます。
その上で、最終的には、福祉住環境コーディネーター自らが考え、利用者本人の「使いやすさ、その人らしさ」を尊重する姿勢が求められます。 |
福祉住環境コーディネーターの活動場所は主に、次のような分野があります。 |
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建築分野: |
住宅メーカー、住宅設備メーカー、建築設計事務所、都市計画事務所、建設会社、工務店、住宅リフォーム会社、不動産管理会社・・ |
福祉分野: |
福祉用具メーカー、福祉用具販売会社、訪問介護事業所、在宅介護支援センター、高齢者福祉センター、介護保険施設、ケアハウス、グループホーム、民間老人ホーム・・・ |
医療分野: |
訪問看護ステーション、介護医療型医療施設、病院・・・
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など、多岐にわたりますが、大切な事は、自ら進むべき分野で、この知識をどう生かすかを、思考することで、あらゆる可能性が生まれる、ということです。 |
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福祉住環境コーディネーターをめざすには |
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【2016年受験者の内訳】 |
3級
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短大・専門学校生 |
25.4%
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高校生
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19.5%
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その他の業種
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12.0%
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大学生 |
8.2%
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サービス業(社会保険・社会福祉) |
7.9%
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サービス業(医療業)
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5.4%
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サービス業(その他)
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5.2%
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建設(総合工事業)
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4.3%
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建設業(その他)
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3.4%
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建設業(デザイン・設計)
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1.1%
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その他
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7.6%
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計 |
100% |
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2級
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短大・専門学校生 |
13.7%
|
その他の業種
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13.7%
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サービス業(社会保険・社会福祉) |
13.2%
|
サービス業(医療業) |
12.1%
|
大学生
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10.0%
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サービス業(その他)
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9.3%
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建設(総合工事業)
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7.7%
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建設業(その他)
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4.9%
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建設業(デザイン・設計)
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2.6%
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専業主婦
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2.2%
|
その他
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10.6%
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計 |
100% |
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【2016年度 試験結果】 |
級
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受験者(人)
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合格者(人)
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合格率 |
3級
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13,237
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5,705
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47.3% |
2級
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28,862
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12,706
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48.3% |
1級
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674
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39 |
7.3% |
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2級・3級の合格者数累計は、現在30万を超えており、各分野で活躍しておられます。 |
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福祉住環境コーディネーター検定試験の内容 |
●試験概要 |
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級
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試験方式
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制限時間
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合格基準 |
2~3級
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2時間
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100点満点で70点以上合格
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1級
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マークシート方式
記述式 |
2時間
2時間
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100点満点で70点以上合格 100点満点で70点以上合格 |
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●出題範囲 |
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級
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出題範囲 |
3級
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高齢者の福祉と住環境に関する基礎的な知識を問うものが、中心です。
全ての人に身につけてほしい一般常識という位置づけとなります。
問題数は50問で、全体が10の大問に分かれ、それぞれ5つの問題
・第1分野 「介護・医療・福祉」 :40点
・第2分野 「建築・福祉用具・総合」:60点
四肢択一中心 |
2級
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3級レベルの知識を有する前提で、実際の仕事に生かせるレベルで、住環境整備の実践力が試されます。
具体的な事例の他、建築関連の法規や数値の問題があります。
各専門職と連携して具体的な解決策を提案する能力が求められます。
五肢択一中心 |
1級
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個々の住まいにとどまらず、日常生活圏全般や福祉施設まで「まちづくりのリーダーとしての役割を担う」と位置づけられています。
一次試験はマークシート方式で 2時間:100点満点で70点合格となります
二次試験は論述および記述式試験
住環境整備の実務能力(課題に対する提案力)をベースに応用力や総合的判断力を問うものです。
身体機能、住宅の間取り図、使用用具、本人希望などの条件指定された相談事例に対し、住宅環境整備のプランニングをおこなうものです。 |
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●受験日程 |
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試験実施地域・会場
東京商工会議所および各地の商工会議所が主催
【地域】3・2級は全国220か所程、1級は全国15か所程 |
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合格から実務に就くまで |
1)建築・福祉・医療の知識・経験がない人 |
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↓(福祉住環境コーディネーター3級取得)必須ではない
建築・福祉・医療の知識を学ぶ
↓
福祉住環境コーディネーター2級取得
↓
・企業・団体・自治体などに勤務し、住環境整備にかかわる
・現職業の中で、住環境整備にかかわる
・住環境整備にかかわる職場への転職 ・・・など |
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2)建築・福祉・医療の専門知識をもち、すでにこの分野で働いている |
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↓(福祉住環境コーディネーター3級取得)必須ではない
福祉住環境コーディネーター2級取得
↓
・現職業の中で、住環境整備にかかわる
・住環境整備にかかわる職場への転職・・・など |
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さらに福祉住環境コーディネーター1級を取得し、地域のまちづくり参画するなど、より広い視点で、住環境整備に関わることが可能となります。 |
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“福祉住環境コーディネーター検定試験(R)”は東京商工会議所の登録商標です。 |
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