九変篇

智者の慮は必らず利害に雑う。

利に雑りて而ち務め信なるべきなり。

害に雑りて而ち患い解くべきなり。

知者は思考するとき必ず、利益と損失の両面を考慮に入れる。

利益を考えるときは損害の面も考えれば、順調にことが進む。

損害を破った時は利益の面も考えれば、その問題を解決することができる。


是の故に 諸侯を屈する者は害を以てし

諸侯を役する者は業を以てし 諸侯を趨らす者は利を以てす

よって敵を屈服させるものは、害をうまく扱い、

敵を疲弊させるものは事業をうまく扱い、敵を誘うには利益をうまく扱う。


故に将に五危あり、必死は殺され、必生は虜にされ、

忿速は侮られ、廉潔は辱しめられ、愛民は煩さる。

凡そ此の五つの者は将の過ちなり、用兵の災なり。

軍を覆し将を殺すは必らず五危を以てす。

察せざるべからざるなり。

司令官には陥りやすい五つの危険性がある。必死の覚悟で猪突猛進するものは必ず死が待ち構え、生きることに固執する司令官は捕虜になりやすく、

短期で怒りっぽい司令官は罠にはまりやすく、人民を愛する司令官は情に流され、

敵の術中にはまりやすい。

軍が破れ、司令官が殺されるのはこのためである。

深く考えなければならない。

お城
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