自分が記憶しているものが、どんなものなのかを考えてみると、それは、何か特別な理由があったはずです。どうでもよいことはあまり記憶されません。 |
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目に見えるすべてのものを記憶したら、脳のメモリはすぐにいっぱいになってしまうでしょう。脳の容量は無限大ではありません。記憶しようとしたものしか記憶できないという脳の性質は、限られた記憶の容量を主観的に利用するために必要なことなのです。覚えなさいという強い信号がきたときのみに、記憶されるのです。つまり人間は自分で覚えようとしたことは覚えられるのです。 |
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また、連合学習という性質もあります。これは記憶するときに何かに関連づけて覚えるという性質です。タクシーの運転手さんや映画評論家の記憶力がいいという話の中でも触れましたが、個々の事象だけ覚えても使えないのです。個々の記憶は独立しているのではなく、互いに連合しているのです。私たちは、ある一つのことをほかのことと連合させて記憶しているのです。一つのエピソード記憶は、複雑に他のエピソード記憶と結びついて記憶されているのです。 |
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●脳は覚えようとしたことでなければ覚えられない
●個々の記憶は互いにつながっている |