寝る前の読書が非常に効果的であることが、心理学で証明されています。アメリカの心理学者ジェンキンスは、平均能力差がないように、AとBの二つのグループを作り、同じ講義をして、翌朝講義内容についてテストをしました。Aグループには講義がすんだらすぐ寝るように指示を出し、Bグループには好きなように行動させました。テストの結果には、Aグループの平均記憶力は56%、Bグループの平均記憶力は9%というように大きな差がついたのです。ジェンキンスはさらにこのような実験を繰り返し、「就寝直前に入った情報は、記憶効果が高い」という結論を得ました。これは「ジェンキンスの法則」と呼ばれています。
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なぜ、そのような結果となったのでしょうか。それには睡眠中に見る「夢」が影響しています。睡眠にはリズムがあります。浅い眠りと深い眠りが、交互に起こっているのです。浅い眠りは「レム睡眠」と呼ばれ、深い眠りは「ノンレム睡眠」と呼ばれています。夢はレム睡眠のときに見ています。だからレム睡眠のとき、脳波は目覚めている時のように活発です。反対にノンレム睡眠のときは、脳波は静かです。つまり脳が休んでいるのです。その代わり、ノンレム睡眠のときは寝返りを打ったりして体をよく動かしているそうです。レム睡眠のときは体が休み、ノンレム睡眠のときは脳が休んでいるのです。
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覚えていなくても、人間は一晩の間にものすごい量の夢を見ています。脳にまったくないものは夢となって出てくるわけがありませんから、夢は記憶の再生なのです。印象深く変わった夢は覚えていますが、ただの記憶の再生の夢は覚えていないだけなのです。(『記憶力を強くする』池谷裕二著より)その他、さまざまな研究により、夢が昼間の経験を思い起こす行為であることがわかってきています。そして現在の脳科学によれば、夢は脳の情報を整え、記憶を定着させるために必要な過程なのです。記憶は夢を見ることによって保存されるので、寝ることでしっかりと記憶できるのです。徹夜で知識を詰め込んでも、側頭葉に記憶されることなく数日で消えます。寝ることと勉強することをうまく絡めることが大事です。寝る前の20分をうまく利用して、夢を活用しなくてはもったいないです。
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●就寝直前に頭に入った情報は、記憶効果が高まる
●その日にやった内容を、リラックスして短時間(20?30分)で見返す
●記憶は夢を見ることによって保存される |